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【ちばのへり】
 海と川に囲まれた千葉県の「へり」には何があるのか。ビジネスの種が見つかるかもしれません。そんなビジネスの種を見つけるため、「ちばのへり」コーナーではそんな「種」を探してご紹介します。
Vol.79 【ちばのへり】九十九里浜Ⅲ
九十九里浜Ⅲ
地引網をきっかけに漁業が発展
 1555年(弘治元年)に戦国時代に紀州(現在の和歌山県)の漁師・「西宮久助」が出漁中に暴風雨で流され、現在の白子町の「剃金(そりがね)」に漂着した事から九十九里の「地引網」の歴史が始まったといわれています。当時の九十九里沖にはたくさんのイワシがいるにもかかわらず、それを獲らない漁師の姿を見た「西宮久助」は地引網を紹介して、命を救ってもらった恩に報いました。
 江戸時代になって、当時世界一の人口密度に成長した庶民の食糧を確保するため、農産物を育てるための肥料の需要も高まりました。肥料の中で注目を浴びたのが、それまで江戸では使われていなかったイワシを乾燥させて作る肥料「干鰯(ほしか)」でした。「地引網」で獲れたイワシは、浜で乾かし「干鰯」となって大量に消費されるようになり、九十九里の町は潤いました。現在「剃金海水浴場」付近に「九十九里地引網発祥の地」碑が建てられています。
 「九十九里」というと「地引網」と即答されるほど知名度があるものの、現在は実際の漁では使われておらず、観光客相手の「地引網体験」でしか残っていません。全長66kmの九十九里浜は、砂浜のため飯岡漁港、栗山川漁港、新片貝漁港、太東漁港の四箇所のみしかありません。数少ない漁港から水揚げされた海産物の他、岩場で獲れる岩ガキや砂浜の蛤などの海産物が中心で、旭市飯岡から九十九里町近郊までの県道30号線沿いには、獲れた海産物の加工を行う企業が建ち並んでいます。
 一方、九十九里浜には川の水と海水が交じり合う「汽水域」があり、そこでは、希少価値のある「青のり」が養殖されています。なかでも長生村の「青のり」は村の特産品になっています。
地引網発祥の地
九十九里地引網発祥の地
この一宮川の汽水域で「青のり」が養殖されている

海産物ではなく農産物も生み出している
 九十九里浜の地域では海産物の他に、沿岸に作られた「干鰯」を活用して農業も盛んに行われていました。
 今でも九十九里沿岸には広大な田園風景が広がり早場米が生産されています。また、都市に野菜や果樹など生産性が高い「都市型農業」も盛んに行われ、首都圏の大消費地に向けて様々な野菜が作られています。
 なかでも全国で1位の生産量を誇っている「長ネギ」は、九十九里浜周辺の地域でも盛んに作られています。2002年(平成14年)に千葉県の西側を通過した台風21号のために山武市周辺は、大量の海水を含んだ潮風による塩害で多くの農作物が枯れてしまいました。しかし、「長ネギ」だけは被害が無かっただけでなく、通常の栽培よりも美味しかった事がきっかけで、海水をかけて栽培する「九十九里海っ子ねぎ」が誕生し、ブランドネギとして販売されています。
 他にも、白子町の玉ねぎは有名で収穫時期の毎年5月後半には「白子玉ねぎ祭り」が開催され、会場はもとより玉ねぎ農家が1袋10kgの玉ねぎを山積みして道端で直販している姿を見かける事が出来ます。更に「白子玉ねぎ祭り」開催中には、玉ねぎ畑で収獲体験イベントも開催され、毎年家族連れで賑わっています。
 また、白子町五井では田園風景の中に立ち並ぶ大型のガラス温室「ガーベラ団地」が作られています。この温室で生産されているのが1年を通してキク科の多年草「ガーベラ」で、種類にして約80種、年間で400万本の「ガーベラ」が出荷されています。この「ガーベラ団地」は見学する事も出来、直売する事も出来ます。
 この様に九十九里浜は、海の恵みだけでなく特産物となっている農産物も数多く生み出しています。
釣ヶ崎海岸
匝瑳市などで栽培されている「海っこねぎ」
白子町の「ガーベラ団地」

県道30号線はグルメ街道
 今でも九十九里浜の沿岸地域はイワシが名物で「なめろう」や「つみれ汁」をはじめ、イワシを使った料理が郷土料理になっています。イワシのほかにも蛤など九十九里で獲れる海産物は、千葉県内の道の駅などでも販売されていますが、九十九里町の「海の駅九十九里」は、「道の駅」になぞらえた施設で、休日には九十九里地域で獲れた海産物を目当てに多くの観光客が訪れています。
 更に、旭市飯岡から九十九里町までの間には、九十九里で水揚げされた海産物、特に大ぶりのハマグリなど貝類をその場で焼いて食べさせる「浜焼き」を売りにした店舗が数多く見られます。「浜焼き」を食べさせる店舗は、特に九十九里に沿って走る県道30号線沿線に多く点在し、いわゆる「グルメ街道」の体を見せており、それを目当てに多くの観光客が訪れています。
 地引網、干鰯、海水浴、サーフィン、グルメ等時代と共に千葉の外房地域に恩恵を与えてきた「九十九里」は事態と共に変化します。この地を訪れる観光客にとっての魅力はまだまだ新しい魅力を提供してくれるでしょう。この魅力を残していくために我々に求められるのは、自然を守り、日本一の砂浜を無くさない事です。素敵な九十九里浜を維持していく事で、九十九里浜は私達にもっと素晴らしい恩恵を与えてくれるでしょう。
蓮沼海浜公園
海の駅九十九里
県道30号線沿いに点在する「浜焼き」を売りにした飲食店

(2024/11/8)
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