時代にマッチした商品開発と海苔の食文化啓蒙を通して
海苔のおいしさを若い世代に伝え、
新しい価値を生み出す活動を行っています。
加藤海苔店「三代目海苔蔵」
加藤海苔店では、海苔の仕入れ、工場での加工と卸・販売を行っています。また、海苔といえば、お茶。長年の取引先から良質のお茶を仕入れ、販売を行っています。
もともとは本家の家業が海苔屋だったのですが、祖父が独立して新しく海苔店をはじめたのが「加藤海苔店」の始まりです。それを父が継いで、三代目が僕、というわけです。加藤海苔店「三代目海苔蔵」を名乗り、時代に合った新しい海苔屋を目指してSNSやネット販売などにも積極的に取り組んでいます。
自分が経営に参画して始めにやったことは、新商品開発です。気軽に食べられて、おしゃれなパッケージ。それを最高の海苔で作る。意外なことに、味付け海苔はあまり品質の良くない海苔を味で食べられるように加工した物が主流でした。でも、本当においしい海苔の風味を生かした味付け海苔や焼きのりを作って食べていただきたいと考えて「玄」シリーズを作りました。工場に缶詰の機械があったので、「これだ!」とパッケージや海苔の形を試行錯誤して、現在のスタイルに辿り着きました。ほんのりと香る味付けと口溶けの良い海苔を厳選し、密閉缶に樹脂の蓋を付けて、湿気ない工夫をしました。デザインも、そのままテーブルに置いてもきれいなラベルに仕上がりました。ねらい通り「玄」シリーズは贈答品としてだけでなく、自宅用として若い世代の方々にも大変人気があります。現在も新しい味の試作は続けていて、良い商品ができたと自信がある時だけ商品化を行っています。
こだわりの江戸前海苔を全国へ
加藤海苔店は、地元江戸前の船橋・行徳、三番瀬の海苔の良さを中心に千葉の海苔をもっと宣伝していきたいと考えています。千葉の海苔は香り、甘みともに本当にすばらしいので、是非全国の皆様にもっと知っていただき、味わっていただきたいと考えています。催事販売などで全国へ出かけていて、千葉の海苔は有明や瀬戸内に比べて意外に知名度が低いので、試食やお客様とのふれあいを通して、販売促進や商品開発に役立てられたらと思います。実際に「大きさが扱いにくい」「歯につくのが気になる」など、参考になるご意見を数多くいただくことができ、まだまだやるべき事がたくさんあるな、と感じています。
また、最近では大量生産化へ移行した時代に絶滅しかけた幻と言われる「アサクサ種」で作った「浅草海苔」の復活がありました。一部の生産者による取り組みで養殖に成功し、少量ですが商品化されました。加藤海苔店でも販売したところ、大変好評です。
一方で温暖化による品質・生産量の不安定さや後継者不足による生産者の減少などが危惧されています。やはり、漁師さんあっての海苔屋なので、何とか力を合わせて海苔の仕事を続けていければと思っています。