高床式砂栽培で
新しい農業を目指す
高床式栽培とは
株式会社グリーンファームかずさでは、ハウス内に高床式砂栽培農業施設を設置した、東レ建設株式会社の新しい農業施設、トレファーム®で野菜を栽培する会社です。高床式砂栽培とは、腰程度の高さの高床の上に、15cm程度の砂床をつくり、その上で農作物を育てる方法です。農地となる部分をベットと呼び、1ベットのサイズは120×180cmあります。
1ベットの重量は700kgにもなるため、それを水平に支えるために頑丈な工事現場の足場の技術を利用して作られています。
水だけで水耕栽培に似ていますが、砂栽培の場合土と比べ水はけが良いため、植物にとって常に水が無い状態で、根をたくさん張って水を取りにいかないと生きられない状況を作っています。また、土にはイオン化された栄養分となる有機物がありますが、砂の場合はありません。植物にとっては苛酷な条件ですが、その分窒素が少ない野菜ができ、食べたときに苦味やえぐ味を感じない、日持ちが良くなる美味しい野菜を作ることができます。
ハウス内は24時間コンピューターで計測・監視され、温度やベットに送る水や肥料などは自動で散水されます。
栽培してる主な野菜は、パクチー、ホーリーバジル(トゥルシー)、ロメインレタス、カイラン菜(茎ブロッコリー)、ルッコラ、フリルレタス(フリルアイス)、イタリア野菜のカーボロネロ(黒キャベツ)などエスニック料理やイタリ料理で使われるような野菜です。
サラリーマンから転進、農業を始める
私は元々東レ建設に勤務し、永年ゼネコンの営業をしていました。その後、トレファーム®の開発を担当していました。
当初この事業を東北の震災復興に役立てたいと思い、進めていましたが、残念ながら実現しなかったことで、個人的に中途半端な思いが残っていました。更にまだ発展 途上の部分も多々あった事もあり、自分で農園を始め最後まで見届けたいという思いで、東レ建設を退社し、退職金で施設を建て、この会社をスタートしました。
しかし、会社はスタートしたものの、実家はサラリーマンの家庭で自分も農業経験があるわけではなかったため、軌道に乗るまでは苦労しました。
農業生産法人になるには、1500坪(五反)以上の農地が必要ですが、施設建設でも費用がかかるため、高校の同級生の知り合いだった地主さんに土地を借り、スタートしました。
野菜の販売をスタートした約5年前、JAに加入し、直売所に置いてもらうことから始めました。「自分がレストランなどで食べて美味しいなと思った野菜」を作っていたためか、全く売れませんでした。そのうち、珍しい野菜だということで、JAが出荷しているイトーヨーカドーの川崎店に置いてもらえるようになりました。
また、自分が食べたいと思うレストランにランチに行き、シェフと料理の話をしながらレストラン需要を開拓したこともあります。
レストランに出入りするようになり、レストランの欲しい野菜を切らさずに栽培することで現在の仕組みが出来上がりました。