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ぴかいちば
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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

天然素材にこだわった革製品を作りながら、
地域と地産地消のエネルギーにも傾倒する
自然に帰る素材で
完全手作りの革製品
 革榮では、革の素材から金具、ファスナーまで化学物質を使っていないものを使用し、ステーショナリーや、スマートフォンケース、財布などの革小物からバッグまでを製造し、販売しています。注文で一番多いのは1万5,000円程度のスマートフォンケースです。他にも名刺入れなど1万円程度の革小物系のご注文をいただき、そしてその後多くのお客様がお財布やバッグなどへステップアップしていただいております。
 販売している製品の8割はオーダー品です。また、ネットショップも開いていますが、オーダー品を作る際に必要なお客様とのやり取りをするのが難しいため、主に定番の既成品の販売をしています。
 睦沢町に来るまでの約10年間は、東京の葛飾区を拠点にデパートなどで「オーダー品の受注会」として、期間限定のポップアップ店舗を出店し受注していました。ポップアップ店舗でお客様のご要望を伺い、それを持ち帰って工房で製作し、出来上がった製品を発送していました。
 既成品を並べたポップアップ店舗を開くだけなら人を雇って出店すればいいのですが、オーダーの仕事が多く、お客様のご要望をくみ取るためには私自身が行かないと始まりません。しかしその間、製作が完全に止まってしまうという状況になり、納期が遅れてお客様にご迷惑をおかけしてしまいます。睦沢町に移った現在は、イベントやポップアップ店舗への出店を抑え、主に口コミでのご注文とネットでの販売に変化しました。
 睦沢町に引っ越す際に「価格もそれなりの製品なので、田舎で商売は難しいだろう」と思っていましたが、2020年7月12日のオープンイベントを大きくやった事が良かったのか近隣の方々に周知していただけた様で、びっくりするくらい近くのお客様も来店してくれるようになりました。また、旧来のお客様とは実際にこの店舗にご来店いただくか電話でオーダーしていただく方法でご発注頂いています。
総天然素材革工房 革榮(かわざかえ)
手作りの看板
工房の中で商品を販売している。

ものづくりで
一生使えるものを
 私は子供の頃からプラモデルを作るなど物を作ることが好きでした。小学校の時の先生が最初に褒めてくれたがきっかけで、物作りがすごく好きになった事は今でも強烈に残っています。この事から今になって、改めて子供の頃の教育は大切だという事を痛感させられました。
 レザークラフトを始めたのは、友人の「かっこいい」財布を見て「買えば高いが自分で作れるんじゃないか」と思ったのがきっかけでした。その後は趣味として続け、時々友人からの依頼で材料費だけもらって作ったりしていましたが、当時はそれが本業になるとは思ってもいませんでした。
 仕事の方はというと、若い時から何らかの事業をやったり、フランチャイジーをやったりと、ずっと事業の経営に携わる生き方をしていました。唯一サラリーマン生活を経験したのは、レザークラフト事業のお客様候補と知り合う事と市場調査の目的を兼ねて勤めた2年間だけです。
 人材派遣の会社を経営していた時、「自分一人でできるような仕事がしたい」と思うようになり、趣味だったレザークラフトなら「作って」、「売って」と全てひとりで出来る事だと考え、会社を畳んでレザークラフトの仕事に転換する事にしました。
 製品を自然に帰る素材のみで製作するようになったのは、趣味でやっていた頃からお付き合いしていたお客さんが亡くなられて、ご家族が気に入っていた財布をお棺に入れてもらおうとしたところ、入れられませんと断られたことがきっかけでした。「革製品は一生もの」といいますが、革製品にさして悪いものが入っているという認識はなかったので、後日断られた理由を聞きに行ったところ、私の商品だからという事ではなく、革製品は「難燃性」で燃えにくく薬品が入っていたりするので、火葬の際に釜の温度を上げると骨まで燃えてしまうという事になるので基本的に断っているとの事でした。
 その話を聞いて「難燃性」という言葉は頭には入ってこなかったのですが、「一生使える」と言っていたのに、最後の最後で出されたのが作り手としては非常に悔しくて、だったら「どこで、どんな状況でも持ち主と一緒にいられるようなものを作りたい」と思って天然素材だけにこだわりはじめました。
総天然素材革工房 革榮(かわざかえ)
一番人気のスマートフォンケース
工房のロゴにも100%Natural Materialの文字がある
天然素材にこだわる
 天然素材だけでの製品作りには、大変苦労しました。革は特注で作ってもらい、接着剤は化学成分を含んだ製品しか出回っていないため、古来より使われていた「にかわ」や磨き剤の製法は、昔の文献で作り方を調べ全て一から手作りました。また、糸は化学繊維ではなく麻糸を手作業で蝋引きをしたものを使っているため、ミシンを使うことができず全て手縫いをしています。
 金具も錆びて風化するようにメッキしていないものを選び、ファスナーはテープの部分が化学繊維を使ったものばかりで、自分では作れないので綿素材で対応してくれるメーカーを探し出しオーダーで作ってもらっています。
 この様に手作りと協力してくれる会社を得たことで、何とか全て土に還せるものを実現することができましたが、とにかく材料を始め一品一品が手作りで量産できないものなので、お客様に愛着を持って「一生もの」として長く使ってほしいと思っています。
 私は「人が作れるものは自分でも作れる」と思ってしまう性格で、実際に睦沢町に移って作ったこの工房も、コンテナだけを買ってきてコンテナへの窓付けから内装まで全て自分で作りました。今までしてきた様々な仕事でも真似たりする事はあっても、誰かに習うという事はありませんでした。
 ただあこがれのレザークラフトの職人さんはいますが、自分も作るのは好きで器用な方だと思っていたので「そんなにかからず追いつくだろう」と思っていました。しかし、実際にやって自分の実力がついてくると、その職人さんがどうやって仕事をしているのかが分かってきて、今ではその差は縮まるどころかさらに広がっていくのを感じ、この仕事は奥が深いと感じています。
 8割にのぼるオーダーの受注では、イメージは浮かんでいても、うまく形にできなくて試行錯誤することが良くありますが、そういう生みの苦しみも含め全てが楽しいと思って仕事をしています。
総天然素材革工房 革榮(かわざかえ)
手作りの接着剤として使う「にかわ」
人生の三本柱
 私は北海道出身で、都会に住むより田舎の方が波長に合うので、移住を考えている中出会ったのが睦沢町でした。
 2016年(平成28年)に電力自由化になって、「地産地消のエネルギー」や「再生可能エネルギー」の環境にやさしい電源を地元で使って、それによる潤いを与え町内に循環させるという考えを睦沢町が千葉県でいちばん最初に言いだした自治体でした。
 町が「睦沢エナジー」という電力会社を起こして、地元で採れる天然ガスを使ってガスタービンで発電しその電気で道の駅と隣接した住宅のエネルギーを賄い、排熱は温泉で使うという取り組みでした。
 うちの製品は土に還るものなので、移住する先もそういう事に関心のある所に移りたいと元々思っていたので、実際に移住しようとなった時の移住先の選択は睦沢町一択でした。
 レザークラフトの仕事は「これしかない」と思って始めましたが、他にもやりたいことが沢山出て来る性分なので、これからは新しいことも手掛けていきたいと思っています。
 現在私が今後の人生の三本柱と考えているのは、「電気エネルギーの普及とその教育」、「地域活動」そして「革」です。
 「電気エネルギーの普及とその教育」は、環境問題やエネルギー問題、エネルギーの地産地消に関係すること、政治の事などを若い人に教えていくことです。例えば、今の工房と自宅は井戸があるので水道は引かず、電力は東京電力と契約はしていますが、基本は太陽光と電気自動車の蓄電池で全て賄えているので、敷地内で全て完結しています。3~4件に1件このような家があれば、昨年の台風被害のような災害が起きてもご近所で対処することができると思います。
 また「地域活動」は、現在バスのドライバーをボランティアでしていますが、いずれ過疎地の問題などを解決していき、最終的には町の財政を潤す事ができないかと考えいてます。
 最後に本業の「革」は、天然素材で作っている製品を更に発展させていく事を考えて準備を進めています。
 レザークラフトのような狭い所に引きこもってコツコツやるような仕事ばかりしていると人との交流が無くなってしまいますが、会社経営をやっていた時代から「新しい事を始めたい」と強く思い出すと「それに必要な人間に会える」という経験をしてきています。
 最近三本柱の事を考えるようになって、実際に行動すると人に会えるようになります。そういう事があると楽しくなってしまう性分なのです。
総天然素材革工房 革榮(かわざかえ)
ガスで発電した電気を使った
むつざわスマートウェルネスタウン
革榮でも太陽光と電気自動車でエネルギーの自産を実現
ハ総天然素材革工房 革榮(かわざかえ)
企業名 革榮(かわざかえ)
事業
概要
革製品のデザイン・製造
住 所 〒299-4411
千葉県長生郡睦沢町河須ケ谷グミノ木下13-4
電話
番号
TEL:080-5461-9760
H P
(2020/9/10)


〈編集後記〉
 千葉には「千葉の人が気づかないいいところが沢山あるんですよ」と語る北海道出身の辻榮さん。ひたむきに物づくりに取り組む一方、事業家として活躍してきたその経歴から想像できるように、新たな取り組みに向けたエネルギーを感じました。
 これからは単に事業だけでなく、睦沢町のために、そして千葉のためになる活動しようと着々と構想を練っているようです。これからの辻榮さんの活動は注目です。
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