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ぴかいちば
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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

地域のため、
長狭米を守るために行動を起こす。
米屋が米作りをする
 会社がある長狭地区は、北に清澄山系、南には嶺岡山系を望む、東西に長い平野になっているため日照時間が長く稲作に適した土地で、この地区で採れた米は「長狭米」として多古米やいすみ米に並ぶ千葉のブランド米として知られています。1999年(平成11年)に農林水産省の「日本の棚田百選」に認定された大山千枚田もこの地区にあります。
 長狭地区は江戸時代から良質な米が採れる地域として知られていたため、明治天皇の即位式である大嘗祭(だいじょうさい)の献上米に採用されたという実績もある事から、2010年(平成22年)に「ゆめ国体」で千葉県を訪れた上皇・上皇后両陛下はゆかりのある大山千枚田を視察されました。
 株式会社ファームたけのうちは、昨年2020年(令和2年)6月10日設立、法人化しました。設立してから1年弱の準備期間を経て、今年2021年(令和3年)の4月13日、初めての田植えをスタートさせました。
 今年の耕作面積は10町歩(約3,000坪)ほど。当初はこの半分位の面積から始める予定でした。そんな中予想以上に今年は米作りが出来ないという農家さんが多い一方、このコロナ禍で米の売れゆきが芳しくないため減反の話が出ていました。しかし、一度休耕すると元の田んぼに戻すのが大変なので、休まず誰かに引き続きやってほしいという要望があり、結局この面積でスタートする事になりました。
 米作りは天候をはじめ様々な外的要因に影響を受けますが、今年は700俵を目標にしています。予想以上の広さで心配もありますが、1年目はまずしっかりと作る事に専念しようと思っています。
株式会社ファームたけのうち
大山千枚田
大山千枚田にある上皇陛下の短歌

興味が無かった農業に
目覚める
 子供の頃から実家で米作りをやっていますが、私自身は農業をやりたかったわけではありませんでした。しかしでも小さい時に父親を亡くしているので、必然的に「いわれるがまま」12歳頃から家の米作りの手伝いはしていました。
 これといって特に何がやりたいという事も無い子供だった私は、仕事は単にお金を稼ぐものとしか考えていなかったので、高校を卒業して千葉市の土木建築会社に就職しました。その後病気で体を壊したのをきっかけに、鴨川に戻って土木建築の会社や運送会社など転々とし、その中で2年ほど竹ノ内米店にもお世話になりました。
 たまたま繁忙期の秋の収穫時のアルバイトとして再び竹ノ内米店で働かせてもらったのがきっかけで、社員として再就職するようにお声がけいただき、入社したのが今から13年前で、今は竹ノ内米店で専務取締役として籍を置いています。
 再度入社した当時はまだ「単に食べるために働く」といった考えしかありませんでしたが、収穫時期に米を引き取りに農家さんを訪問すると、「跡継ぎがいない」などの話を多く聞くようになり、次第に「いずれ米作りが出来たら」と思うようになっていきました。
株式会社ファームたけのうち
有限会社竹ノ内米店
長狭米の生産者も高齢化が進んでいる
後継者不足の農家を助ける
法人を設立する
 私は今でも実家の米作りを手伝っていますが、高齢化が進んでいるこの地区の農家さんから頼まれて、実家以外の田んぼまで引き受けるようになってきました。しかし、依頼される量がだんだん増え、私が手伝う程度ではやりきれなくなってきました。農家さんの多くは若手の後継者も無く、これから更に高齢化が進んでくるため、法人化して大規模に対応できるようにしていかなければ、作り手が減少して長狭米が衰退してしまうと思っていました。
 一方私が勤務している竹ノ内米店でも仕入れ先の農家さんから「代わりに米を作ってほしい」という声をよく聞くようになり、竹ノ内社長と会長もいずれは米作りをやらなければいけないと思っていたそうです。
 竹ノ内米店に勤務しながら、いずれ米作りにも手を出せるようにしたいと思うようになりましたが、現実的に私一人ではできません。竹ノ内社長に相談して、どうせやるなら法人化してやっていこうと思いが一致して、竹ノ内米店から出資を受け会社を設立し、私が代表取締役になりました。
 会社は立ち上げたばかりなので、現在は実質2名で、時期によってアルバイトなど臨時に人を調達しています。必要な機材も最小限は揃えていますが、これからもっと増やしていかなくてはいけないと考えています。
株式会社ファームたけのうち
長地区の田園風景
ファームたけのうちとして初めての稲は順調に育つ
一歩ずつ動いて夢は
6次産業化
 ファームたけのうちの代表としての肩書も持つようになりましたが、竹ノ内米店の専務取締役としての肩書も持っています。竹ノ内米店は米屋なので「米が欲しいから、米作りをはじめたと」いう側面もありますが、企業として農業をする事で継続な活動が可能になり、長期にわたり地域へ貢献できると思います。
 今は米作りに専念しますが、徐々に力を付けていければと思っています。米は春から秋に向けて栽培するので、裏作として野菜なども栽培したいと思っています。野菜作りは趣味的な範囲でしか栽培したことが無いので、生産者としてはまだまだ知識不足です。また、苗を育てるためのハウスも田植えが終わればその役割を終えてしまうので、そこの活用も考えています。
 夢は自分たちで栽培した野菜を加工まで、つまり6次産業化まで取り組んでいく事です。たとえば、バジルを栽培してそれをペースト状まで加工して販売するとか、弁当としておにぎりを作ってそれを配達するとか、ひと加工して販売する事など色々な事をやってみたいと思っています。
 まだ創業1年目です。まずは米作りから一歩ずつ動いてみて、次に野菜など他の作物の栽培をする。そして作った作物で加工品を作る。ベースに竹ノ内米店があり、米を配達しているのでその機能を活用して、作物や加工品を色々な所に販売し、おいしくて安心安全な食品をお客様に届け、喜んでいただけたらいいなと思っています。
株式会社ファームたけのうち
今年初の収穫が待ち遠しい
将来的には野菜の栽培や加工品までを手掛けたい
株式会社ファームたけのうち
企業名 株式会社ファームたけのうち
事業
概要
米をはじめとした農産物の生産・販売
住所 〒296-0024 
千葉県鴨川市池田327-1
(有限会社竹ノ内米店鴨川店内)
電話番号 04-7093-0334
従業員 2名
資本金 300万円
(2021/6/10)


〈編集後記〉
 
 取材はまだ全て田植えが終わっていないお忙しい時期でしたが、竹ノ内社長にもご配慮いただき実現する事が出来ました。寡黙なタイプの山口社長ですが、竹ノ内社長のフォローもあり、色々とお話を聞かせていただくことが出来、いずれは米だけでなく、農産物の加工・販売など6次産業まで発展させていきたいという夢も聞かせていただけました。
 「株式会社ファームたけのうち」と「有限会社竹ノ内米店」の活動は、地域に根差して地域のため、そして長狭米を絶やさないために大きく貢献されるだとうと確信しました。
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