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ぴかいちば
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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

蜂蜜を通して
日本の良い物を世界に発信したい
非加熱・無添加の蜂蜜
 八八は大網白里市で、養蜂を始めて今年で3年になります。「八八」という名前は、「日本中、そして世界中のあらゆる方面(八方)に『はちみつ』を届ける」という思いを込め、親しみやすく覚えやすいように「八八」としました。モットーとしては「ふるさとの味を世界に届けたい」という事と「人にも蜂にも自然にも優しくありたい」という二つを大切にしています。
 養蜂の仕事は単に蜂蜜を採るためだけでなく、ミツバチをどう残していくかの取り組みでもあると思っています。ミツバチは世界の作物の3分の1を受粉しているといわれていますが、ミツバチがいなくなるとその作物は出来なくなってしまいます。元々蜂が好きで始めましたが、数年先を見て取り組むのではなく、この先50年や100年を見据え、ミツバチをどうやって未来に残していけるかを考えなければいけないと勝手に責任を感じて取り組んでいます。
 今年(2021年)の5月に蜂蜜の専門店とカフェ「八八ラボ」をオープンしました。「八八ラボ」では地域を盛り上げたいとも思っているので、蜂蜜を売るだけでなく、この地域に住んでいる作家さんが作った蜂に関連した雑貨などの他、現在はテイクアウトのみですが、蜂蜜と蜂蜜を使ったドリンクやスイーツを販売しています。
 八八の蜂蜜は、どこよりも質の良い物を作る事にこだわり、ハチの巣箱から直接取り出したままの美容や健康にも良い非加熱・無添加の物を販売しています。更に珍しい味の蜂蜜も販売しています。採れた蜂蜜は自社のホームページで販売している他、提携しているお店やイベント、催事などでも販売しています。
大網白里市の蜂蜜 八八(はちはち)
古民家を改装した八八ラボ
八八ラボの店内

企業の内定を辞退して
ふるさとを選ぶ
 実家は大網白里市で落花生と米を作る農家で、そんな環境で育ったためか外で遊ぶ事が好きな子で虫や植物と触れ合う機会が多く、中でもクマンバチが好きで自宅にある藤棚に来ているクマンバチを眺めていました。好奇心が旺盛で何かを観察するとか、深く知りたいという好奇心が強かったのかもしれません。
 大学に進学しましたが、入学した大学は論文を重視するような学校だったため、新聞や文献を見る機会が多くなり、それに触れているうちに「文章が書けるっていいな」と思うようになりました。それがきっかけで世界を歩いて色々な事を見聞きしながら、自分の言葉で文章を書く事にやりがいがあると感じてジャーナリストになりたいと漠然と思っていました。
 世界を歩きたいと思った事で何カ国語もの語学の授業を取っていたので、大学時代はそれについていくのが大変でした。留学にも憧れましたが、自分で稼いで仕事としていった方が楽しいと思い、実際に留学する事はありませんでした。
 大学3年の時に母が「趣味で養蜂をやってみたい」と言い出したのがきっかけで、母と一緒に養蜂の趣味講座のようなものに参加し「ミツバチは面白い」と思うようになりました。実際に蜂を飼うようになってからは、母より私の方が養蜂にはまっていきました。
 夢はありましたが、現実的には大学を卒業してOLになる事を考えていたので、ある企業の面接を受け内定をいただき、そのまま就職して養蜂は実家に帰った時の趣味として考えていました。
 小さい頃から自然が周りにあるのはあたりまえという生活を送っていて、大学も東京といっても周りには自然がある小平市で、キャンパス内にある寮に入って生活していました。
 都心にある内定をいただいた会社でインターンをする事になったので、都会の生活に慣れようと文京区に部屋を借りて住んでみましたが、通勤の満員電車など私は都会的な生活は苦手だったようで、今までと違う環境のギャップに一気にやられてしまい、「東京で一生を終えるのは自分にはできない」と、その時にはまっていた養蜂に目が向くようになりました。結果私の心の支えは自然だったようです。
大網白里市の蜂蜜 八八(はちはち)
巣箱を移動して目的の蜜を採取する
採れたまま非加熱・無添加の蜂蜜
ビジネスコンテストの
ファイナリストになる
 養蜂の講座に通っていたのとほぼ同時期に、起業するきっかけとなったもう一つ大きな体験をしていました。高校時代にはまったチョコレートを食べているうちに、「チョコレートがどうやってできているのか」という事に興味を持つようになりました。大学の3年の時にチョコレート会社が主催した「カカオツアー」で実際にカカオを栽培しているインドネシアのカカオ農園に行ける事を知り参加する事にしました。
 ツアーの参加者は私と同じ大学生の他、企業の社長や食品の開発をされている方、チョコレート製造で必要なカカオの発酵熱を使って発電する研究をされている方などコアな方も多く参加されていました。そんなコアな方たちの前のめりに一生懸命やっている姿を見て、自分も「こういう風に仕事がしたい」と思いました。
 ツアーは自分の目的通りカカオからチョコレートになっていくまで、どのような過程をたどっているかを知る事ができて楽しかったのですが、ツアーの最終日に休憩で立ち寄ったカフェで運命的な出来事がありました。たまたま私の隣に座ったある企業の社長さんに何となく思い付いたビジネスアイデアの話をしたところ、「起業のビジネスコンテストに出てみたら」と勧められました。偶然ツアーの参加者の中にビジネスコンテストを主宰している会社の方がいらっしゃって「来月コンテストを開催するので出てみたら」と勧められました。やってみようという事になり、ツアーに参加していた他の学生を巻き込んで参加した結果、学生の身分ながらファイナリストまで到達する事が出来ました。
 この経験で事業を起こす事の面白さに気づくきっかけになり、「新しい事を始めるとこんなにも面白がってくれる人がいるのか。好奇心を突き詰めていいんだ。」という確信のようなものになりました。
 私が企業の内定を辞退し、養蜂の仕事をすると家族に伝えたところ反対され、母からは「3年間は社会に出て働いた方がいい」といわれました。でも女性のライフプランを考えてみると、結婚や出産をする前に養蜂の技術を身に着けておいた方がいいという判断に至りました。それに、やりがいのある仕事に全力を注いだ方が継続できるだろうと思って反対を押し切り養蜂を始める事にしました。
大網白里市の蜂蜜 八八(はちはち)
養蜂の道を選ぶ
八八自慢の蜂蜜
日本の良い物を
発信したい
 蜂蜜の味を変えるには、その地域に多い花をめがけて蜂を置きに行ったりしますが、私の活動の一つに耕作放棄地を農業委員会や園芸協会などの公的機関から借り受け、荒れたり土地が痩せてきている土地に蜂蜜が採れて、その後は緑肥(肥料)になるような蜜源植物(蜜の元となる植物)を植え、その土地を借りた時より良い状態にして返すという活動をはじめました。そうすれば、作物を育てる環境が出来ているので、資金の問題でなかなか取り組めないでいる畑をやりたいという若い方の助けになって、その後の循環につながっていくのではと考えました。
 現在は日本から世界に出ていく蜂蜜は全くといっていいほどありません。でも、桜や藤など日本らしい蜂蜜も採れています。こんなにおいしい蜂蜜が日本でも採れる事をもっと国内のみならず世界の人にも知ってほしいしし、そういう取り組み自体もこの地域の人たちにも知ってもらって、地域の人たちが誇れるような存在になりたいと思います。
 養蜂家を始めて3年、ふるさと納税の返礼品にもなり、その関係で知り合った方や市の職員の方がご協力していただくなどして、他の企業とのコラボを始める事が出来るようになりました。それはいすみ市にあるカフェの方と何種類かの蜂蜜とのコーヒー豆の組み合わせをする事で、より深い楽しみ方をしていただく取り組みや、山武市の酒造メーカーさんとガラス工芸の会社とコラボして、蜂蜜で作ったお酒とそれを楽しむための専用グラスをセットにして販売する取り組みです。更に地元のアクセサリーを作る作家さんともコラボして、蜜を採る蜜源となる桜や山椒の仲間の「からすさんしょう」などをあしらった物を作ってもらっています。
 まだ始まったばかりですがこれをもっと拡げて色々な方と繋がってお客様がびっくりするような事をどんどんやっていきたいと思っています。せっかく日本には良い物がたくさんあって、それを作っている方もすごくいい人達で、私たちの熱意がこもったものをどんどん世界に販売していきたいと思っています。
大網白里市の蜂蜜 八八(はちはち)
日本独特の桜の蜂蜜
コーヒーと蜂蜜のコラボを企画
大網白里市の蜂蜜 八八(はちはち)
企業名 八八
事業
概要
蜂蜜の製造販売
カフェ店の経営
住所

〒299-3211 
千葉県大網白里市細草1813

八八ラボ(はちみつ直売所&カフェ)
〒299-3211
千葉県大網白里市細草1810-7

電話番号 080-8700-8465
HP https://www.88honey.jp/index.html

Instagram:
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(2021/9/10)


〈編集後記〉
 
 若い女性が養蜂家になった背景にはどんな事があったのか非常に興味がありましたが、実際にお話を伺ってみると納得できました。地元が大好きで幼い頃から自然が好きだった事、好奇心が旺盛だった事、養蜂の講座を受けた事などそれまでの積み重ねが、「カカオツアー」でコアな方たちの前のめりに一生懸命やっている姿を見て、更にビジネスコンテストに参加した事で花開いたのでしょう。「世界にも出ていきたい」と語っていた佐久間さんのビジネスセンスを生かした活躍は、千葉で活躍する新しい世代の注目株の一人だと感じました。
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