パンケーキを通して
地域にも貢献したい
移動販売からカフェへと
事業拡大
創業は2015年(平成27年)でパンケーキの移動販売からスタートしました。おかげさまでご好評をいただき口コミなどでお客様が次第に増え、2017年(平成29年)には地元市原市姉崎に「カフェクルゼ」をオープンしました。
2018年(平成30年)にはパンケーキを生かしてフルーツをサンドした「パンケーキデサンド」を開発。予約販売でスタートし、持ち帰りでも食べていただけるようになり、催事やスポット出店などで販売できるようになりました。
2019年(平成31年)11月には持ち帰り専用の店舗「FRUITS TO WA?」をカフェクルゼ市原本店の隣にオープンし、2020年(令和2年)には千葉そごうに出店しましたが、2021年(令和3年)10月26日に出店場所を移動してリニューアルオープンしました。メニューも「パンケーキデサンド」の他に、パンケーキの生地の良さを味わってもらうロールケーキや、生クリームが苦手な方でも食べていただけるプリンと一緒になったパンケーキ、千葉県産の牛乳を使ったジェラードなど今までなかった商品を販売する予定で、現在若いパティシエ達と一緒に開発を進めています。
また、都内にも出店しており、2021年(令和3年)4月に小田急デパート新宿店に「カフェクルゼ」をオープン、更に2021年(令和3年)11月には渋谷のヒカリエにも出店する予定です。
パンケーキに使っているフルーツは市場に出回らない農家直送の完熟いちごやマスカット、宮崎のマンゴーなどこだわりのフルーツを、生地は全て手作業で焼いているため、焼きあがるまでに1枚当たり20分程かかりますが、その分お客様にはご好評をいただいています。私たちの様な生地の焼き方は機械メーカーも手を出さないし、大手はオーブンで一気に焼き上げるスポンジ系でないと絶対やらないといわれました。逆に考えると手作業勝負というのが私たちの参入のポイントになっています。
現在販売しているパンケーキは、全て市原の本社で製造して配送していますが、製造する量が増え、現在のスペースでは足りなくなり、拡大する必要が出てきました。もっと広い場所に移転する準備を進めていますが、その間一時的に市原のカフェをお休みし店舗スペースまで拡大して対応しています。従って現在営業しているカフェは小田急百貨店の新宿店のみになっていますが、来年春に工場が稼働し始めてから、改めて近隣の別の場所にオープンする計画をしています。
移動販売からスタート
2021年小田急デパート新宿店にオープンしたカフェ
好きなトッピングが選べるハッピーパンケーキ
マンゴーマリネとチョコのフィアンティーヌ
人気のパンケーキは
子供の頃作った
シフォンケーキがルーツ
私は子供の頃からお菓子作りが好きで将来はケーキ屋さんになりたいと思っていました。なかでもシフォンケーキが大好きで7、8歳の頃からシフォンケーキ作りにチャレンジしていた思い入れのあるケーキでした。シフォンケーキはメレンゲが大切で、更に焼きあがった後、型のまま逆さにして置くことで形が保てるようになりますが、幼かった私にはどうしてもうまくできず、悔しくて何度も作り直しました。
高校に入学する前から縁があってマクドナルドでアルバイトを続け、お客様係を担当するまでになりました。接客が好きで相手が老若男女問わず、笑顔一つ、一瞬で人の気持ちを変える事が出来る素晴らしい仕事だと思っていました。
結婚し出産を経て、22歳で離婚したことをきっかけに正社員になり、その後1年半で店長に昇格、この経験をした事で商売が面白いという事に気づきました。
25歳の頃に11年間勤務したマクドナルドを退職する事になったのは、土日が忙しく、小学生になった子供とは合わない生活をこのまま続けていく事に不安を感じたからでした。
退職して再就職するため様々な業種の会社に応募しましたが、マクドナルドで店長として資金の借り入れ以外の人の管理、お金の管理、進捗管理などビジネスにかかわる事は全てやってきていたので、自分としては自信を持っていましたが、ファーストフードの仕事以外は全く通用しませんでした。これでは「唯一無二の物を作り出さないと、社会の中で自分の価値が生み出せない」と思うようになり、独立して一から始める決心をしました。
就職活動をしていた頃、たまたま兄が中古車販売の会社を創業したばかりで、その会社を手伝っていました。その時にオークションサイトで軽自動車の移動販売車を偶然見かけ、移動販売をする事を思いつきました。たまたま移動販売の事を教えてくださる人もいたため、平日は兄の会社を手伝い、土日はパンケーキの移動販売を始めました。
自分の得意分野はシフォンケーキですが、それを作るオーブンには大きな電力が必要ですが、移動販売ではそれが困難です。例えばそれを事前の仕込みで対応したとしても、家庭用のオーブンでは1回に2個しか焼けないため、大型のオーブンが必要ですがそんな場所も資金もありません。また焼きあがるまでに1回あたり1時間もかかるのでは採算を合わせるのも無理があります。そこで私はシフォンケーキの生地をベースに考えた生地を鉄板で焼くパンケーキにする事にしましたが、それを見た人からは「プロのパティシエは温度や湿度をコントロールできない車でパンケーキを焼くことはしない」といわれました。
移動販売を始めて最初の半年は売上も思ったように上がらず苦しい状態が続き「何万円の売り上げを稼ぐのにこんなに朝から晩までかかるのか」と思いながらもひたすら続けていましたが、最初の車では狭くて作業性も悪く大変だった事から、翌年には思い切って車をコンテナ車に変えたことで生産性も大きく変わり、売り上げも上がっていきました。
売上が増えてくると大量の生地を仕込む場所が必要になってきます。しかも移動販売は平日の売り上げが低く、また常に移動しているためリピーターのお客様に「いつもここにいる」という場所を作りたいと考えオープンしたのが市原のカフェです。
実際にオープンしてみると近隣のお客様も多く、うれしい事に土日を休みにしている場合ではない状況になり、何人かパートの方をお願いして店舗とキッチンカーで運営していました。カフェをオープンしてからはイベントで出会ったお客様がお店に来店し、カフェで出会ったお客様がイベントにも来ていただけるようになり相乗効果で次第に売り上げも上がっていきました。
2017年にオープンしたカフェクルゼ
カフェクルゼの店内