父の教え
『一芸を極めれば
万芸に通ずる』
今になって思えば、父は子供だった私に素晴らしい事を教えてくれていました。家具製造業を経営していた父は高度経済成長期に乗った「名うて」の営業マンで、出張ばかりでなかなか家に帰ってこないような人でした。ある時久々に家に帰ってきた父が、晩酌で酔っ払っている時に私を呼び止め「お金ってどうやって儲けるかしっとるか?」と聞きました。当時小学校の2~3年の子どもだった私が答えられるわけがありません。「しらん」と答えると、「人の役に立ってお金というのは結果的に入ってくるんど」「それを覚えておけ」と父。つまり「社会に貢献しないやつがお金を得る事は無い」という事です。また、ある時は「『一芸を極めれば万芸に通ずる』という言葉を知っとるか」と父、「しらん」と答えると、「お前、復唱せい」と父。その場で5回も復唱させられた事もありました。
人口5万人(当時)の府中市から京都市の高校へ行くなど、私がこれまでステージを上げてきた全ての「成功」は結局父の言っている「一芸」なんです。水泳からも学んだし、難関校に無事入学出来た事も、会社員時代に結果を残せたことも全て父の言葉で学んだ事でした。だから「成功」するまでやり続けるから成功するので、養殖の事業でも私は必ず成功すると思っています。
もう一つの会社「GGM」が目標に掲げているのは「環境を通じて、物言わぬ環境や未来の人たちに対して、どういうサステナブルな社会を残すかという仕組みづくり、枠組み作り」で、私は「GGM Way」と呼んでいます。
「GGM」の目標を達成するためには私一人が頑張っても、しょせん「一馬力」でしかありません。それを何とか実現するためには、私がやっている「エビの養殖」に一人でも多くの人が取り組んでくれる事です。その輪が広がっていけば、自給率4%のエビが30%、更には50%と増えていってくれるでしょう。私からしてみれば、千葉県、特に房総半島南部は温暖な気候で、海も近く、土地も確保しやすい、こんな適地はありませんが、産業が無く困っているのが実態です。この「千葉県がエビの一大生産地」になってくれるのが夢です。現在県内の有力企業と私のコンサルティングでエビの養殖を始める話が進んでいます。それがきっかけになって多くの個人や企業が参入してくれれば、この夢もより現実的になってきます。
「農地を活用したエビの養殖」は一つの象徴的なモデルなんです。国内生産が少なく、輸入依存の典型的な水産物であり、一方の耕作放棄地は地方創生を難しくしている点で象徴的であり、ソリューションを示すべき事業と考えています。しかも、エビ養殖は東南アジアで環境問題を引き起こしており、日本人は間接的にこの問題に加担しているともいえる。私の考える「環境配慮型の養殖」に大企業や中小企業、個人事業主や農家の方まで参入して全国に多くの養殖場が出来ていけば、輸入に頼らずに地元のサプライチェーンで賄えるようになります。エビの国内市場規模は約4,000億円ですが、約90%(3,600億円)を輸入に依存している。つまり、全額ではないにしろ、輸出国へお金が流れている訳で、これを国内事業者の売上とすることが理に適っており、地方創生だと思っています。東南アジアで生産させて、日本にエビを持ってくる大資本は売り上げが減るでしょうが、フードマイレージは無い方がいいし、日本の食糧安全保障を考えると、良いことしかありません。まずは千葉県が先陣をきって、この3,600億円を国内事業者に取り込むことに挑戦していきたいと考えています。
「Seaside Consulting」のビジネスがある程度自分が立てた目標に行き着いたら、誰かに任せて、私は次のステージに進みたいと思っています。私のようにスタートアップをする人は、アイデアはあっても、それを実現していくためのお金がない事で苦労しています。しかし、それに投資してくれる人がなかなかいないのが現状で、私の次のステージでは、そんな経営者に投資する事で支援していきたいと思っています。そういう人達を支援すれば、その力は何百倍にもなります。結果的に社会が良くなってくれれば、まさに「GGM way」の通りとなります。
次のステージに立つために、まずは60歳を目標に「Seaside Consulting」を上場企業に押し上げたいと思っています。
養殖場には日本初の陸上養殖の視察客が訪れている
「第一回ちばガストロノミーアワード」の生産部門でトップ30位に選ばれた