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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

「がま口」にこだわった
物作りを続ける
「がま口」を得意とする
革製品のスペシャリスト
 有限会社ナカワは東京をはじめ大阪や豊岡などの問屋さんから受注した財布や革小物を製造・販売している会社です。なかでも「がま口」といわれる「口金」がついた財布などが得意で、品質も評価いただき、誰もが知っているブランドの商品をはじめ国内各地から様々なご注文をいただいています。
 また、千葉市稲毛区高浜にある「稲浜ショップ」内に「中川守和匠店(なかがわもりかずしょうてん)」という工房を兼ねた店舗を開いており、「中川守和匠店ブランドのロゴ」が入ったオリジナル商品の「がま口」をはじめ、自社デザインの革製の商品の他、一部注文をいただいているお客様ブランドの物も販売しています。
 得意先の開拓は営業して拡大しているというより、同業者が「これを作れるのはあそこしかない」という事でお話をいただいています。うちは「がま口」に関しては「日本一」といってもいいほどの職人さんを抱え、口金のある物作りには自信を持っています。
有限会社ナカワ
千葉市美浜区にある高浜ショッピングセンター
ショッピングセンター内にある「中川守和匠店」

「不器用」が転機となる
 私の生まれは東日本大震災で被害が起きた太平洋沿岸の地域、福島県富岡町です。
 父は国家公務員をしていましたが、器用な人でDIYで太陽光でお湯を沸かす「ソーラー温水器」まで作っていました。弟は父親似で器用ですが、私はというと子供の頃から母親似だと思っていたので「不器用」だと思っていました。
 工業高校を卒業して当時の「日立化成」という会社に就職し、旋盤で鉄を削る仕事をしていました。したが、私だけ「人の半分しかできない」という状態で、皆の足を引っ張る状況で、自然と会社にはいられなくなってしまいました。
 「不器用」な私はその後仕事を転々としていましたが、ある時工業高校の先生から紹介され就職したのがこの業界に入ったきっかけです。
 就職した先では営業で台東区の横山町や馬喰町あたりの問屋街を回っていました。営業職は初めてでしたが好きな仕事でした。変なプライドも持っていないので、お客様から叱られたら土下座して謝るのも平気で私に向いている仕事でした。
 入社した会社は業界一番の会社だったので私は営業専門でやっていましたが、後に稲毛区にあった工場の工場長から誘われて工場に転勤しました。工場では6年間を過ごし、その間結婚をして住居も千葉に構えていました。しかし、工場に誘ってくれた工場長と揉めてしまい、一時は退社を考えましたが、再び営業職として本社に呼び戻されました。
 取引先に訪問すると当然ライバル会社の営業達も来ていて、その営業達といつも顔を合わせているうちに親しくなって、お茶を飲みながら情報交換をするようになりました。その営業達のうちの二人が独立し、私は会社帰りに立ち寄るようになり、最終的にはその会社に誘われ、独立した二人に合流して一緒に会社をやるようになりました。
 当時はバブル期の少し前の時代で景気も良く、売り上げも順調で自社ビルを建てるという話が持ち上がりましたが、「違和感」を持った私は仲間から独立する決心をし、会社を作ったのが1988年(昭和63年)でした。
 私が独立を決意したのは、私が人の上に立つ「経営者」というタイプではなく、単に自分の好きなだけ仕事をして、それが売れていくのが嬉しくて、そういう事を楽しみたいと考えていたからでした。
有限会社ナカワ
現在の店舗には様々な商品が並んでいる
がま口の財布の様々な形がある

「不器用」が没頭して
「器用」になる
 仲間と会社をやっていた頃は「がま口」の仕事をしていませんでしたが、妻が「がま口」の内職をしていたので「がま口」でやっていく事に決め、問屋さんに営業をかけて「がま口」の仕事の引き合いをもらうようになりました。
 私は元々不器用ですが、妻はすごく器用でした。妻は「がま口」を作らせたら手は早いし綺麗だし。だから私が仕事をもらってきては妻に作らせていました。一方私は昼間営業をし、帰ってきてから下準備をする毎日でした。
 仕事は順調に進み、そのうち手伝ってくれる職人さんも徐々に増え、私は革を仕入れて準備して、職人さんに渡す仕事をやっていました。
 最近になってようやく「俺って意外に器用だ」と思うようになれました。コツコツとやっていれば出来るものですね。よく「器用貧乏」といいますが、そういう人は何でも出来てしまうので、逆に「浅い」のだと思います。自分は不器用ですが仕事に没頭してふと気が付いたら「あれ!俺って器用だ」と思えるようになりました。それで思い出したのが、「ポーラ化粧品の社是」の「出来ないのはやらないからであり、努力と信念が足りないからである。並にやれば並にしか出来ないのである。」という言葉でした。まさに私のためにある様な言葉だと感じました。
 今では娘も手伝ってくれています。口金をはめ込む作業は難しいのですが、母親に似て器用で助かっています。また、従業員の他の女性達は、職人さん達に渡す下準備や段取り、仕上がってきた商品の検品や値札付け、納品のための梱包などをしてくれています。
有限会社ナカワ
工房の中に並ぶミシンなどの機械
口金に縫製した革をきれいにセットするのが難しい職人技

夢は「がま口」博物館
 革の素材は海外から入ってくるものが多いのですが、中国など今まで素材を輸出していた国が経済成長した結果、鹿狩りなどをする人が減少してしまうなど、今までとは違った環境になってきました。一方、私の所には国内で害獣駆除されたキョンや兵庫県や長野県で獲れた鹿の革などが入って来ています。今では扱う素材の多さも特徴になっています。
 ブランド品の仕事には厳しい基準があって、革に元々あった傷などは全てはじいて製品にするため、その部分は廃棄になってしまいます。そこで、自社ブランドの商品ではあえて傷も「味」として製品化しました。また、店頭で「革の端切れの詰め放題」として販売をしてお客様に活用していただけるようにしています。
 今は製造していない「がま口の口金」をはじめ約200種類の在庫を使って自分の好きなオリジナルの商品を作っていこうとワクワクしているところです。元々は自宅が工房だった事もあり、昔からの商品をいっぱい保存しています。また他の人が作った商品も集めているので、将来はそれを展示する「がま口の博物館」を開きたいと思いっています。
有限会社ナカワ
キョンの革の素材
珍しい革が続々と出て来る
有限会社ナカワ
「自然の傷」の部分をあえて商品にした長財布
革の端切れも無駄にはしないエコな取り組みも
有限会社ナカワ
「仙台四郎」を飾ったおかげで次々と良い事が起きた
お手伝いをお願いしたおかげで新商品開発の時間が作れる
有限会社ナカワ
出来ないのは、やらないからであり、努力と信念が足りないからである。並にやれば並しかできない。(ポーラ化粧品社是より)
企業名 有限会社ナカワ(中川守和匠店)
事業
概要
革製品の企画・製作
住所 〒261-0003 
千葉県千葉市美浜区高浜4-12-2稲浜ショップ内
電話
番号
043-278-5891
HP HP:
https://nakagawamorikazu-syouten.square.site/

ハンドメイド通販Creema:
https://www.creema.jp/c/nakawamori

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従業員 4名
資本金 300万円
(2024/6/10)


〈編集後記〉
 
 突然の取材のお願いでも快く引き受けてくれた中川さん。この工房兼店舗を開くときには、友達が店名やロゴマークなどを作ってくれたそうです。取材時に店舗の商品を拝見しましたが、クオリティーの割にお値段が安いのでびっくりしました。
 SDG’sが騒がれている時代ですが、特にそこにこだわるのでなく自然体で、革にはつきものの傷などをあえて生かして製品作りをしているのにもびっくりしました。訪問した際にいただいたのが下の革製の名刺です。これを見ただけで中川さんはお茶目な方だという事もわかりました。
 今まではがむしゃらに働いてきたが、こからは「楽しみながら仕事をしようと思っている」とおっしゃる中川さん。これから中川さんが作る「遊び心」満載で、こだわった「がま口」の製品が楽しみです。
顔
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