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ぴかいちば
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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

現場に駆け付け油圧ホースの
「即納体制」を実現する
「困った」現場に駆け付ける
「高圧油圧ホース」のメーカー
 株式会社油圧テックは「高圧油圧ホース」のアセンブリ(組み立て)をしている会社です。「高圧油圧ホース」とは、様々な機械を動かすために「作動油」が通るゴム製の三層になっているホースです。いちばん内側の「作動油」が通るゴムの外側にホースのパンクを防ぐワイヤー層、そしていちばん外側もゴム製になっています。「高圧油圧ホース」は、様々な機械の動作が必要な可動する部分に使われています。たとえば建設機械では油圧ショベルのアームの様な伸び縮みして力のかかる所に使われ、両端が金具で圧着され、その中を高圧の「作動油」が流れ動作できるようになります。
 「高圧油圧ホース」はゴム製品なので必ず経年劣化するので、交換しないと破裂してホースの中を通っている「作動油」を吹いてしまったりするんです。もちろん私達にご依頼いただくのは破裂して「作動油」を吹いてしまった時だけでなく、その前に予防的に交換されるお客さまもいらっしゃいます。ご依頼いただくと使用条件に耐えうるホースと、取り付ける機械に接続する金具部分の形を見極めて作るのが私達の仕事で、この仕事はいわば「油圧ホースのリプレイス市場」にあたる業界です。
 もちろんお客様が「高圧油圧ホース」を外して「このホースがパンクしちゃったから同じものを作って」と工場に持ち込まれるケースもありますが、私達のビジネスの特徴は、「工作車」が現地に出向いてその場で製作・交換までする事です。
 この会社はホースの「準メーカー」の様な会社に勤務していた創業者の先代社長が独立して創業しました。「高圧油圧ホース」の市場は「今日明日に欲しい」というニーズが多く、「大手メーカー」が製造したホースを「販売店」が仕入れて納品するのでは即納体制が難しい状態でした。お客様にすれば現場を止めるより地元のホース屋を使ってでも直ぐに復旧できる方がメリットを感じるだろうと、先代の社長は「移動工場」になる「工作車」を使って現地に駆け付ける事で即納体制を実現する「フィールドワーク」に目を付けました。
 現在は、受注全体の半分が直接ここにご依頼いただくお客さまで、「工作車」を使って現地に出向いて製作・取り付けを行う仕事が1/4、ほかに機械工具商やうちから材料を卸している販売店で1/4という構成になっています。
 現場に駆け付ける「フィールドワーク」に対応する現在の拠点は成田、鹿島、土浦、東京事業部、八王子、船橋、三郷の7か所で、他にも「サブ店」さんと呼んでいる、うちが卸した材料を使っている販売店さんが県内に5~6社あり、先代の社長がコツコツと築きあげたこの拠点でからお客様の所に駆け付けるようになっています。
株式会社 油圧テック
油圧テック本社・工場
機材を積んで現場に駆け付ける「工作車」

「高圧油圧ホースって何」
といっていた人が社長に
 私は生まれも育ちも八街市で、今も実家から通っています。中学では軟式野球、高校では卓球をしていましたが、特にモノ作りが得意だという事はありませんでした。大学も文系で、卒業してOA機械とか測量機械を販売している会社でセールスマンをしていました。10年勤務したその会社を辞め、実家から通える範囲で就職先を捜していた時に目に留まったのが「高圧ホースの営業」の募集広告で、当時私は33歳、今から27年前の事でした。
 当時この会社はまだ小さくて、事務員さんひとりと社長、それに「工作車」で現地に出向く人が2人位の規模でした。求人広告には「高圧油圧ホース」とありましたが、どんな物か入社するまではまったく知りませんでしたが、入社してみて「面白い業界があるな。」とその時は思いました。
 営業職での入社でしたが、成田出張所の社員が怪我をして一時期出張所に行っていた事がありました。その時には「私が乗りましょう」と現場作業もやらせていただき、多少なりとも現場経験も積む事ができました。
 実は私はオートバイに乗っているんです。若い頃からオートバイ好きですが、数台持っているオートバイはどれも古いものばかりで、しょっちゅう壊れるんです。でも自分で原因を突き止めて、綺麗に直ると気持ちがいいんです。例えば古いオートバイなのでキャブレターが付いていて、目詰まりを掃除したり、タイヤがすり減ったら新しいタイヤを買ってきて自分で交換したりと、自分が整備したオートバイが気持ちよく走るとすごく嬉しいんです。だから私は本質的には「メカ」好きのようで、成田で現場に行っていた時は面白くて仕方がなかったです。「これは面白いね」と結構喜んでやっていました。
株式会社 油圧テック
工場には常に様々な種類のホースを在庫している
ホースに着ける様々な金具も大量に在庫している

素人を育て頼りになる
人材を作る
 お客様の業種は様々で、建設機械のディーラーや建設機械のリース会社のようなお客様が直接工場にいらっしゃって「このホース直して」という場合もありますし、建設機械を購入したお客様や、機械をレンタルして使っているお客様が、現場で作業中にホースが「パンクしてしまった」とご連絡を頂き駆け付ける事もあります。また、油圧プレスやバンドソー、プラスチックの成型機など産業機械も油圧を使ってシリンダーを動かす機械が全て対象になるので、その様なお客様からもお仕事をいただいており、ホースや金具は「横浜ゴム」「住友理工」「ブリジストン」と一流メーカーの製品しか扱わないので、お客様に安心して使っていただけます。
 出向いた現場では、様々な機械のホースを交換するので、社員がある程度建設機械や産業機械の構造を知っていないと現場に行かせる事は出来ません。更にホースも、細いものから太いものまで様々で、機械と接続する金具もたくさんの種類があります。我々は長い間現地に出向く作業を行っているので、どのホースや金具がどれくらい出るかは、おおよそ予測がつくので、駆けつける「工作車」にはある程度の種類のホースと金具を積み込んでいます。よほど太い物や長尺ものでない限り駆けつけた「工作車」で対応できるようにしているので、通常は「工作車」がまる一日動いて、帰って補充すれば済むようになっています。
 お客様から「現場を止められない。何とかすぐやって欲しい。」というご連絡をいただいて「工作車」で駆け付けると、現場が雨でぬかるんでいたり、ホースが破損してオイルを吹いていたりと、悪条件の中で建設機械の下に潜って作業しなければならない事もあります。社員が現場で怪我をしたら大変なので安全第一で考えて作業するよう常に言うようにしています。
 時々かなりの数を一度に交換して欲しいというご要望は、二日に分けてやらせていただくか、別の拠点から応援を呼ぶなど臨機応変な対応をしてお客様のご要望にお応えできる体制を整えています。
 この様に専門性が高い仕事ですが、先代社長の方針で新卒者はひとりも採用していません。採用しているのはある程度社会経験を積んだ人ですが、経歴は様々でモノ作り系の仕事をしていた人はほとんどいません。「油圧ホース?何それ?」という人が多く、入社してからホースの事を一から勉強させています。入社すると、まずは色々なホースの種類を覚えてもらいます。また、お客様によっては数字とアルファベットの組み合わせで表すホースの仕様を書いてオーダーいただく場合があるので、それを一から教えます。それがわかってくると、現場に駆け付けるベテラン社員に同行させて、ホースがどこまで通っていて、ホースを外すにはどこを外したらよいか、ホースを外す段階で危険がないかなど、現場のありとあらゆる事を教えます。ある程度慣れてきた段階で、先輩社員の監督下で作業をやらせてみて、経験を積んでもらい、2カ月位で大体独り立ちできるようにします。
株式会社 油圧テック
ノギスで正確に測りカシメの正常値を検査する
安心・安全な油圧ホースの完成

これからも続く
「リプレイス市場」に向け
更に拡大を目指す
 今のところ「高圧油圧ホース」の代替になる物が見つかっていません。可動しない据え置きの機械ならば鉄の配管で済みますが、可動部分はそうはいきません。建設機械などシリンダーに油圧を与えてアームを動かすような機械の場合、稼働するアームの動きへの「追従性」が必要で、今のところゴムが一番の素材なんです。だから可動部分に対応できるゴム製の「高圧油圧ホース」を使っている機械は星の数ほどあります。しかし、ゴムは次第に老化して交換しなければいけない時期が必ずやってくるので、「リプレイス市場」は今後もなくならないだろうと思っています。
 現在25名ほどの社員が対応していますが、更にお客様のニーズに応えていくには社員数はまだまだ足りない状況です。うちの努力不足かもしれませんが、募集してもこの仕事の良さを分かっていただけないのか、思うように応募して頂けません。やっぱりフィールド作業をする業界はなかなか難しいようです。
 今は入社してくれる人と現在頑張ってくれている社員達のために、専務の先代社長の奥様と相談しながら、時代に合わせた給与体系をはじめ人事システムを少しずつ変えているところです。また、フィールドワークがきつくなる50歳や60歳近くなる人達のためには、たとえばアセンブリ工場のように工場でホースの加工をやれるような体制を作って、「フィールドワーク」若い人に任せられればと思っています。
 個人的には、バイクの他にもうひとつの趣味として大学時代にはじめたマンドリンを続けていく事でしょうか。大学のクラブ活動でマンドリンオーケストラに入って以来、卒業して社会人になっても続けたいと市川市のマンドリンオーケストラに入りました。毎年5月に定期公演を行っていますが、県内の他のクラブから定期公演の応援要請が来ることもあります。今年は2月に市原のクラブに、7月には千葉市のクラブに応援で出演する事になっています。オーケストラの練習で、大好きなオートバイの方は、なかなかメンテナンスをする時間が取れませんが。7月のコンサートが終わればようやく出来るようになると思います。
 オートバイの方は私が所属している市川のマンドリンクラブにもオートバイに乗っている方がいるので、その方からの誘いがあれば一緒にツーリングに行きます。でも、基本はひとりになりたい時間が必要だと感じる事も多いので、誰とも関わらずに、ひとりで走る休日を過ごす事の方が多いです。昨年の9月の連休には、オートバイにキャンプ道具を積んで信州の方を2~3日かけて周りました。
 笑顔を絶やさず、与えられた仕事を一生懸命にしていくためには、オートバイで誰とも関わらずに、ひとりで走って気分転換する事も必要だと思います。また、いつまでも今の仕事にしがみついて働いているのも「いかがなものか」と思うので、会社の課題が一段落したら、役職を退き、あとは後任に任せて大好きなオートバイで日本全国を周るのが夢で日々頑張っています。
株式会社 油圧テック
各ホースメーカー専用のカシメ機が揃っている
ホースに適合するユニットを使ったカシメ作業
株式会社 油圧テック
企業名 株式会社 油圧テック
事業
概要
高圧ホース・口金・カプラ・スイベル・各種ホースの卸、販売
高圧ホースアッセンブリーマシーンの販売
各種継手類の卸、販売
高圧ホースの出張製作業務
洗浄用ホース・ノズル他の卸、販売
油圧ボールバルブ・チェックバルブ・圧力計他油圧機器の販売
住所 〒263-0002 
千葉県千葉市稲毛区山王町212-5
電話
番号
043-304-1711
HP Instagram:
https://www.yuatsutech.co.jp/
従業員 25名
資本金 1200万円
(2025/3/10)


〈編集後記〉
 
 一般の社員から社長になられた宇野社長は、現場の事はもちろん、社員の方たちの気持ちをいちばん汲み取れる唯一無二の社長なのかもしれません。宇野社長は真面目で仕事一本やりだと思いきや、「バイク乗り」で、更にびっくりしたのは「マンドリン」の演奏活動を40年近く続けられている事でした。
 油圧テック株式会社さんのお仕事は、劣化してきた油圧ホースを交換するいわば「予防整備」だけではなく、稼働中の機械で発生したトラブルに対処するため、工場や建設現場など現地に駆け付ける、いわば「機械の救急車」ともいえるお仕事でした。一刻も早く修理して復旧したいお客様にとっては「神対応」をしてくれる会社なのだと思います。急場に駆け付けてトラブルを解消する仕事なので、普通以上にお客様から感謝していただけるので社員の方たちも「やりがい」を感じている仕事だろうと思いました。今日も油圧テック株式会社の皆さんは、お客様の「困った」を助けるため走り回っている事でしょう。

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